この文章はライフボートの2014年度事業計画策定にあたって、殺処分の無い未来の姿を提示するために書かれたものです。
2024年、今からそう遠くない未来の話。
犬や猫を飼いたいと思った人の9割は、まず保護施設を訪れます。
全国では大小さまざまな団体や個人が動物を保護していて、動物たちの情報は「全国保護動物データベース※」から性格・種類・色・性別・体格などの希望を指定して検索できます。
※保護動物の登録数・登録率に結果責任を持つ、民間団体が運営しています。
希望に合わせて動物を探し※、保護している団体や個人にアポをとり面会に行きます。
この頃には全国統一の譲渡基準ができていて、有名デザイナーによるロゴも創られ、そのロゴマークを取得した団体には比較的安心して面会に行くことができます。
いくつかの団体に面会に行き、残念ながら縁がなかったときに、初めてペットショップが選択肢に入ります。
ペットショップの動物たちを飼いはじめるにも、お金を支払うだけでは不十分です。保護団体に準じた面談を経て、動物を引き取ることができます。
ペットショップの動物たちはトレーサビリティが確立されています。
飼育希望者は多かれ少なかれ「自分がこの子を買うのは正しいのか?」という意識を持っていて、動物の性格や体質はもちろん、その子の「親や兄弟」が幸せに生活しているかどうかを確認します。
こうした消費者のニーズを満たせない業者はこの5年間で急速に淘汰されました。1年前には某大手ペットショップチェーンが「産地」を偽装して廃業に追い込まれました。
ブリーダーは認可制になっていて、2014年に存在したような悪質なブリーダーはほぼ淘汰されているか、地下に潜っています。
また、悪質なブリーダーやペットショップの市場を無くしてしまうため、あえて自らブリーダーとペットショップを行う非営利団体も増えています。
こうした団体は大きく分けて二つ、収益を上げて保護活動に使うか、安価に提供して営利事業としてのうまみを減らす方針を取っています。
いずれにしても、「非営利団体がブリーダーをする」ことに対するイメージ先行型のいくつかの批判を受けながらも、自浄作用のある団体が生き残り、ブリーダー市場の半分は非営利団体が占めるようになっています。
日本の住宅事情から小型犬需要はなくなりません。
ペットショップを無くすのではなく、適正化して残すという発想がここ数年でようやく浸透してきて、愛護活動の市民権を得ています。
つづく