7.病気と寄生虫の予防
ここでは犬が最低限しておかなければいけない病気の予防などについてご説明しますので、基礎的な知識として覚えておくと良いでしょう。また、病気などの早期発見と治療のため、動物病院での定期的な健康診断をお奨めします。
ワクチン接種について
診察中です……緊張
犬にも人間と同じように病気予防のワクチン接種が必要です。ワクチンは予防する病気の数によって「5種混合ワクチン」「8種混合ワクチン」などと呼ばれます。
ライフボートでは最低1回の5~8種の混合ワクチンを済ませていますが、確実な予防を行うためにめ、子犬の頃に1ヶ月に1回ずつ3回まで、以降1年に1回ずつの接種をお奨めします。
ワクチンの種類と予防する病気
現在、5種~9種のワクチンが一般的に使われていますが、ワクチンには副作用がありますので種類が多ければ良いというわけではありません。副作用の心配な子犬には少なめのものを使う場合もありますし、老犬になってからは接種しない方が良い場合もあります。獣医師と相談して適切な接種を行ってください。
ワクチン接種で予防する病気には、「パルボウィルス感染症」「ジステンパー感染症」「犬伝染性肝炎」「アデノウィルスⅡ型感染症」「パラインフルエンザ感染症」「コロナウィルス感染症」「レプトスピラ症」があります。このうち最初の3つは命に関わる危険性が高く、確実に予防する必要があります(ほとんど混合ワクチンにはこの3つの予防が含まれています)。
医学の常識、非常識?
人間の医療でもよくあることですが、獣医学の常識も常に変化しています。
例えばアメリカでは、ワクチン接種は副作用などを考慮して3年に1回が主流になっているそうです。
日本より10年進んでいるというペット先進国アメリカなので今すぐにでも見習いたいところですが、当然、日本で使われているワクチンを単純に3年に1回接種すればいいわけではありません。「欧米がこうなんだから……」というだけでは意味がありませんので、飼い主としての希望を伝えつつも獣医師の意見をよく聞き、そのときにベストで現実的な選択をしましょう。
寄生虫の予防と駆除について
寄生虫には動物の体内に寄生する内部寄生虫と、体表や皮膚に寄生する外部寄生虫があります。症状は命に関わるものから無症状のものまで様々です。人間にうつるものも多く、もちろん犬にも良いものではありませんので、定期的に健康診断を受けるなどして予防と駆除を行ってください。下記で代表的なものについてご紹介します。
フィラリア
フィラリアは内部寄生虫の一種で、蚊に刺されたときに幼虫が犬の体内に入ります。その後、皮下や筋肉の中で成長し、最後は心臓に寄生します。症状としては元気食欲の減退、咳、呼吸困難などが挙げられます。重度になると手術で治療するしかなく、命の危険もありますので動物病院で確実に予防してあげてください。
- 蚊の発生した1 ヶ月後から、蚊のいなくなった1 ヶ月後まで毎月薬を飲ませます。
- 通常5月~12月にかけて予防しますが、蚊の発生に地域差がありますので獣医さんにご相談ください。
- 蚊取り線香などで蚊を駆除するだけでは不十分ですので、必ず薬で予防してください。
ノミ・ダニ
ノミやダニは体表や皮膚に寄生する外部寄生虫で、その種類や大きさも様々です。ついてしまうと痒がってストレスになるだけでなく、アレルギーを起こす場合もあります。また屋内に持ち込むと人間の生活の害にもなります。特に夏場は散歩中についてしまうことが多いですので、散歩後は耳の中、指の間、体毛の付け根などをこまめにチェックしてください。
- 予防薬は動物病院で持続性のあるものを出してもらうことをおすすめします。市販のものでは効果が十分でないことがあります。
回虫
回虫の標本です。ちょっと気持ち悪いですよね。でも大切な家族のために形を覚えておいてください。
回虫は腸内に寄生する内部寄生虫で、人間にも寄生します。寄生されると下痢、嘔吐、食欲減退などがみられます。一度駆除しても他の犬のウンチなどからもらってしまうことも多い寄生虫です。ウンチの検査で簡単に発見できますので、定期的に健康診断を行うと良いでしょう。