今年も一年間ご支援くださりありがとうございました
いつもご支援くださりありがとうございます。NPO法人犬と猫のためのライフボートの代表の稲葉と申します。
普段は努めて淡々と、個人を前面に出さずに発信をしている当団体ですが、今年は思うところがあり少しだけ個人的なお話とともにお伝えをさせていただきます。
創業者である先代が保健所からの保護活動を始めてからもうすぐ20年になります。
私自身は14年ほど前の2006年にボランティアとして参加したのをきっかけにホームページのリニューアルに携わり、翌年からスタッフとして働くようになりました。また2008年にはNPO法人化の準備や手続きに携わりました。飼育管理の仕事もそこそこに主に事務局スタッフとしていくつかの仕事を担当し、2011年に代表を引き継がせていただきました。
こうした体験を通して、動物を直接お世話する以外の方法で活動に貢献出来ることを実感できたことは、NPOという場でこれまで働き続けることが出来た原体験になっていると思います。
創業時の話は伝え聞いたことに過ぎませんが、当初は協力してくれる保健所探しに苦労したそうです。それでも積極的なアプローチを続けた結果、今では7つの自治体から受入を行い、年間1000頭以上の犬猫を譲渡しています。そんな20年間の活動を通して、おかげさまで2万頭近くの犬猫を里親さんに譲渡することができました。
2000年当時、年間50万頭を超える犬猫が殺処分されていました。次から次へと保健所に持ち込まれる子がいる中で一頭でも多くの命を救おうと思えば救急救命のトリアージと同じで「まずは助けやすいところから助ける=もらわれやすい子犬子猫を中心に保護する」「里親さんを信じてお任せする」ことが一番と考え、それをひたすら続けてきました。
近年でこそ殺処分数も3万頭まで減り当団体でも状況に合わせて譲渡条件を変更していますが、それでも「一定の基準を満たした方を信じて任せるしかない」というスタンスに変わりはありません。
しかし正直に言えば、里親さんがみつかったときには嬉しさと同時に「本当に大丈夫かな?」という不安を感じることもあります。これは担当者として里親様と対面していた当時も、代表となって団体の方針を決める立場になった今でも変わりません。
ほとんどの方が大切な家族の一員として暮らしてくれる一方で、後日施設に戻ってきてしまう動物もいますし、戻してもらえればまだ良い方で当団体の知らぬところで飼育放棄されている子がいる可能性もゼロではありません。
そんな方が0.1%でもいれば譲渡した2万頭のうち20頭は幸せになっていないのではないか?もしも1%もいたら・・・。そんな矛盾した気持ちを抱えながら、自分たちのやり方に迷いが生まれることもあります。
そんなときにいつも心の支えになるのは里親さんからの温かいメッセージです。
数年経って写真や動画を送ってくださる里親さんも増えてきました。施設にいたころとは違って穏やかな表情になったのを見て「すっかり家庭犬だね」とスタッフが盛り上がることも少なくありません。
他にもSNSでご紹介してくださったり、仲間の犬猫のためにと寄付してくださったり、二頭目を迎え入れてくださったり、流石に20年も経つと天寿を全うしたとご報告をくださったりすることもあります。先日公開した「ハンディキャップのある猫との暮らしかた」でも里親さんからの愛情あふれるメッセージには感謝以外の言葉がみつかりませんでした。
また活動を支えてくださる支援者の皆様も欠かせない存在です。
寄付をしてくださる方、自宅で余った物資を送ってくださる方、ボランティアとして参加してくださる方、応援のメッセージをくださる方、スタッフにまで差し入れをしてくださる方、様々な形で応援してくださる方がいて成り立っている活動です。
今は特にコロナ禍で皆様それぞれ将来に不安を抱えていると思います。それにも関わらず定額給付金と思われるお金をそのままくださった方や「いったん寄付を止めたい。でも必ず再開します!」と力強いメッセージを下さった方が何人もいました。
実のところこうした応援はこれまでにもずっと頂いてきたことです。なので今さらお礼を言うのはかえって失礼かもしれません。それでも理屈抜きに里親さんや支援者の皆様の応援を実感することができた一年間でした。
長くなりましたが様々な形で当団体をご支援くださる皆様に心よりお礼申し上げます。
2020年12月31日
NPO法人犬と猫のためのライフボート
理事長 稲葉友治