9.Q&A
ここでは過去に里親さんからいただくことの多かった質問、起きがちな問題と対処法をQ&A形式にまとめました。犬との生活に唯一の正解というものはありません。
普段から犬の行動をよく観察して「褒めること」「一貫した態度でいること」を基本に、その子に一番合った方法を探してあげてください。たまにしか起こらない問題であれば、人間があまり神経質にならずに諦めてしまうのも精神的に有効な解決方法の一つです。
チャイムが鳴ると激しく吠えるので困っています
チャイムが鳴ったときに吠える犬は、「チャイムが鳴ると飼い主が走って出て行く=緊急事態」「チャイムが鳴ると知らない人が来る=ストレス」のように学習してしまっている可能性があります。飼い主が走って出るのをやめるだけで直る場合もありあすが、改善しない場合は次のことを試してみてください。
- 家族や知人にチャイムを鳴らしてもらいます。
- いつもどおり立ち上がって出て行くふりをします。
- 部屋からは出ずに、すぐに元の場所に戻ります。
これを繰り返すと、チャイムへの反応が徐々に小さくなりますので、一度玄関まで出てみます。
そして犬の反応を見ながら、ふりをしたり、本当に出て行ったりを繰り返します。こうして「チャイムが鳴っても何も嫌なことは起こらない」ということを教えていきます。オヤツが好きな子であれば、2と3を「チャイムが鳴ったらオスワリをさせてオヤツを与える」というようにアレンジしてもかまいません。玄関先までの来客であれば、これを数日~数週間続けるだけで直ってしまうこともあります。
※部屋までお客さんが入ってくる場合は次のQ&Aもご覧ください。
来客がいる間ずっと吠え続けてしまいます
知らない人に吠えるのは、縄張りを侵入者から守る犬の本能によるところもあり、なかなか難しい問題です。外では吠えなくても、自宅への来客には吠えてしまう子もいます。
お客さんに協力してもらい「人間が命令 → 犬が従う → ご褒美を与える」という一連の流れを飼い主と一緒にしてもらいましょう。
飼い主とお客さんが対面しているよりは、横に並んでいたほうが、お客さんを「侵入者ではない」と思ってくれやすい場合もあります。犬の反応を良く見ながら色々試して、その子に合った方法をみつけてあげてください。
子供を怖がって吠えてしまいます
子供の高い声や予想できない動きを嫌がる犬は多いです。家族に子供がいれば慣れるのも早いですが、そうでない場合には犬を飼っている知人などのお子さんに「まだ小さいから優しく触ってあげてね」のようにお願いして、少しずつ慣らしてあげるとよいでしょう。
ただし、一番怖いのは子供にケガをさせてしまうことです。不意に近づいてきた子供を反射的に咬んだり、犬が吠えたのにビックリして子供が転んでしまうなどのリスクもあります。どうしても慣れない場合には、子供を近づけない配慮をするのも飼い主としての責任と言えます。
散歩に行っても嫌がって歩いてくれません
歩かない場合はゆっくり慣らすことも大切ですが、同時に「ケガをさせない」「パニックにさせない」程度の強引さは必要です。犬が嫌がっても飼い主が強引に歩いてしまうことで、散歩中はあくまで人間の都合だということを教えることにもなります。もちろん、そればかりでは人間も犬も楽しくありませんので、自由にさせる場所ときちんと歩かせる場所のメリハリをつけると良いでしょう。
※具体的なやり方は「犬のしつけの基本 - 散歩の章」をご覧ください。
犬も車酔いをしますか?
犬も人間と同じように車酔いをしますし、吐いてしまう子もいます。車酔いの防止は寝てしまうことが一番ですので、犬がちょうど収まるくらいのキャリーを用意してあげてください。酔いやすい子は車に乗る2時間くらい前から何も食べさせない方がいいでしょう。
もし車に酔ってしまったら、休憩をとるときに軽く励ましてやり、あとは放っておいてください。そのうち寝てやり過ごすことを覚えます。あまり「かわいそうだね~」というような態度をとってしまうと、車酔いが犬にとっての「甘やかしてもらえるポイント」になってしまい、慣れるのが遅くなってしまいます。
ただし、特に夏場は熱中症に注意してください。熱中症になると体が熱くなり、肉球や脇の下などに汗をかきます(通常、犬はほとんど汗をかきません)。また舌を出してハッハッと息をします。もし熱中症になってしまったら応急処置として、タオルに包んだ氷などで体を冷やし、直ぐに動物病院に連れて行ってください。
エサをあまり食べなくて心配です……
人間にも少食・大食あるように犬にも個体差があります。本人が元気ならあまり心配いりませんが、もう少し食べてもらいたい場合はドライフードをお湯でふやかすか、犬用の缶詰を少しだけ混ぜてみてください。缶詰を使う場合は電子レンジで少し温めると匂いが立ち、食欲が増す子もいます。
元気が無い、全く食欲が無い、下痢が続く、などの場合は病気の可能性がありますので、動物病院で診察を受けてください。
犬まんま(人間の食べ残し) をあげてもいいのでしょうか?
答えとしては「十分な管理ができればあげてもよい」ということになるかと思います。市販のドッグフードのメリットは、与える量や栄養バランスの管理が楽なことです。犬に必要な栄養のバランスは大きな分類で言えば人間と同じです。しかし、細かな栄養素に違いがありますし、食べたものを消化吸収する能力にも違いがあります。特に、塩分は、犬に必要な量は人間の10分の1以下といわれており、味付けのための添加物が多い人間の食べ物を与えるときには注意が必要です。
※食事の章もご覧ください。
自分のウンチを食べてしまいます!!?
実は自分のウンチを食べてしまう犬は少なくありません(食糞といい、特に小型犬に多いといわれています)。原因ははっきりとはわかっておらず、「ストレスからくるもの」「ウンチの中に残っている栄養を取るため」「母犬が子犬の寝床を綺麗にするために食糞していた名残り」など、諸説あります。
初めて食べてしまったときにうまく叱ると以降はしない場合や、大人になると直る場合もあります。しかし、一度クセになってしまうとなかなか直らない子も多く、叱ることで人間に隠れてウンチをするようになってしまう場合もある、など、難しい問題です。
人間にとってはビックリするくらい非常識な行動なのでついついバタバタしてしまいますが、犬からすればそんな人間の様子が「やっぱりウンチは貴重なものなんだ」と見え、食糞を助長してしまうことも多いようです。対応の一例として、犬がウンチをしたらすぐにトイレから離れた場所に呼び寄せ、その隙に他の人が片付けてしまう方法があります。つまり犬の見ているところでウンチを片付けない、ウンチに注意を向けない方法です。
どうしても直らない場合は、人間が諦めてしまうのが一番良い方法かもしれません。ただし、他の犬のウンチには寄生虫などがいる可能性があるので、口にしないように気をつけましょう。
犬が迷子になってしまいました
ポスターの例
犬が迷子になってしまったら、すぐに最寄の保健所(動物管理センター) や警察に届け出てください。ただし、こういった機関は管轄する地域がそれぞれ決められているため、隣接する地域の同様の機関にも問い合わせをしたほうがよいでしょう。
迷子を捜すときのポイントは「迅速さ」と「量」です。犬は一日に数十キロ移動する能力があると言われています。慣れた土地であれば迷子になった場所の近くで見つかることもありますが、知らない土地に迷い込んでしまうとどんどん遠くへ行ってしまう可能性があります。少しでも早く、より多くの人の目に触れるように大量のポスター(最低100枚~) を貼る&配るのが有効です。
貼る場所は人目につきやすく、見た人がアクションを起こしやすい生活道路沿い、動物病院や学校に貼ってもらうのもいいでしょう。また、犬の飼い主は迷子と思われる犬に注意が向きやすく、目撃している可能性が高いので、犬の散歩時間(早朝や夕方) の聴きこみ調査も有効です(ポスターを渡すのも忘れずに)。「この道路は渡れないだろう」という思い込みは禁物です。4車線ある国道を渡ったと思われる場所で発見された例もあります。とにかく少しでも早く目撃情報を得ることが重要です。
ポスターを作る場合は、全身の写真で大きさや特徴をわかりやすく、いなくなった日時や場所、状況も大切です。また、怖がりの子の場合は「追いかけないでください」のような注意書きもあるといいでしょう。連絡先は複数用意し、確実に連絡を受けられるようにしましょう(付箋などで連絡先を持ち帰れるようにするのもいいでしょう)。
※貼ったポスターを後日回収するのも忘れないようにしましょう。