2.犬との接し方
ここでは日常生活の中での犬との接し方について説明します。普段の接し方を間違えていると、しつけのテクニックなども効果が半減してしまいます。ご家族でよく話し合い、全員がポイントを守って接するようにしてください。犬と接するときのポイントは3つです。
- 褒めて伸ばす
- 何かをしてあげる前には、必ず何かをさせる
- 一貫した態度で接する
褒めて伸ばす
叱るよりも褒めることが大切です。なぜなら、誉めるほうが簡単で、なおかつ効果があるからです。叱るときは現行犯でなくてはならず、悪いことをしたら1秒以内にタイミングよく叱る必要があります。タイミングを逃すと犬は何故叱られたのかわからず、叱られているというストレスだけを感じてしまい、事態が悪化する可能性があります。
ましてや叩いたり怒鳴ったりする必要は全くありません。叩くと人間の手を怖がるようになり、手を伸ばしただけで咬むようになる危険があります。褒めるのにもタイミングは大切ですが、少しずれても効果がありますし、なにより人間にとっても犬にとっても幸せなことではないでしょうか。
それでも叱らなければいけないときは、必ず現行犯で叱ってください。悪いことをしたら1 秒以内に、「鋭く短く」叱ります。叱っても言うことを聞かない場合の対処法はケースバイケースで、唯一の正解というものはありませんので、犬の性格に合った方法を探してあげてください。
※様々な場合の対処法については「Q&A」もご覧ください。
子供はしつけの天才?
予想外の動きをしたり、大きな声を出しがちな子供を怖がる犬が多い反面、飼い主としての子供はしつけの天才ではないかと思うことがあります。本気で遊び、本気で叱り、本気で喜ぶその態度が、言葉のわからない犬にもダイレクトに伝わり「これをしたら褒められるんだ!」「これはダメなんだ……」ということを感じてくれるからなのかな、と思います。子供の本気な態度から学ぶことは多いのではないでしょうか。
褒め方
犬は褒められるのが大好き
褒めるときは普段よりも明るめの調子で声をかけてあげてください。普段とのメリハリをつけることで、犬が「褒めてもらった」と感じやすくなります。そして、色々な褒め方を試して犬の喜び方を観察してみてください。「明るい声を出す」「軽く叩いてやる」「撫でてやる」「オヤツをあげる」などです。普段は軽く褒め、新しいことを覚えたら一番喜ぶ褒め方をしてやる、のように使い分けをするのもいいかもしれません。
また、当たり前にできるようになってしまった事でも、できるだけ褒めてあげてください。褒められる行動を促すことで、「褒められない行動=人間にとって都合の悪い行動」をする機会が減っていきます。
何かをしてあげる前に、必ず何かをさせる
犬に何かをしてあげるときは、必ず先に命令をしてください。そして命令に従ったご褒美として何かをしてあげます。例えば、食事を与えるときは必ずオスワリ&マテをさせる、のようにです。
- 最初に人間が命令する
- 犬が命令に従う
- 最後にご褒美を与える
この順番が理想です。
犬がトコトコとやってきてオテをする
犬がトコトコとやってきてオテをする。褒めてオヤツを与える。一見良さそうに見えるこの例は実はあまり好ましくありません。この例では最初に要求をしたのは犬です(オテはオヤツをくれ、という合図です)。可愛くてついついやってしまいそうですが、このような犬の小さな要求に従い続けると犬の立場が人間より上になってしまい、様々な問題の原因となります。
もしオヤツをあげるなら、犬のおねだりから一呼吸(最低1 分) 置き、要求が収まったら人間が命令をして、従ったご褒美として与えてください。これはオヤツ以外のご褒美(遊んであげる・なでてあげるなど) の場合も同じです。
一貫した態度で接する
褒めるにしろ、叱るにしろ、家族全員が常に同じような態度で接することが大切です。まずは犬に対してどのように接するか家族全員で話し合って、ルールを決めてください。どんな場合にも上記の「何かをしてあげる前に何かをさせる」を守るのは良いことです。犬が問題を起こしてしまったら、その原因と対応方法を決めて、家族全員が同じように対応してください。
遊んで欲しくて跳びかかってきたら
一度だけ鋭く「ダメ!」と言って、あとは完全に無視してください。「ダメって言ってるでしょ~」と声をかけたり少しでも気持ちを向けてはいけません。言葉がわからない犬にとっては飼い主が自分に話しかけるのはご褒美になってしまいます。
一番最悪なのは中途半端にすることです。10 回吠えられるまで無視したのに11 回目に根負けしてしまうと、たくさん吠えれば願いが叶うと思い、いっそう吠えるようになります。
甘噛みはさせない
遊んだり甘えたりして軽く噛んでくることがあります。あどけなさが可愛くて許してしまいがちな行為ですが、人間に対して歯を使うことが癖になってしまうと、本気で噛んだり、引っ張ってワガママをしたり、将来問題になる危険があります。
甘噛みをしてきたらすぐに手を引っ込めて無視してください。「人間に対して歯を使ったら相手をしてもらえない」ということを教えるためです。これは生涯に渡って守り続けてください。
犬の年齢、人にすると何歳?
犬種や個体により差がありますが、犬は1年~1年半で成犬になり、以降1年に人間の4歳分ずつ歳をとっていきます。寿命は10年~20年くらいで、小型犬のほうが大型犬より寿命が長い傾向があります。当然、歳をとればそれに合った生活をさせる必要がありますので、年齢に合った食事や生活環境を用意してあげてください。
犬 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 6ヶ月 | 9ヶ月 | 1年 | 1年半 | 2年 |
人間 | 1歳 | 3歳 | 5歳 | 9歳 | 13歳 | 16歳 | 20歳 | 24歳 |
犬 | 3年 | 4年 | 5年 | 6年 | 7年 | 8年 | 9年 | 10年 |
人間 | 28歳 | 32歳 | 36歳 | 40歳 | 44歳 | 48歳 | 52歳 | 56歳 |
犬 | 11年 | 12年 | 13年 | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 | 18年 |
人間 | 60歳 | 64歳 | 68歳 | 72歳 | 76歳 | 80歳 | 86歳 | 88歳 |